この街には哀愁という言葉が似合う。
夏が終わり、ひんやりした風が吹き始めた頃。
広葉樹が少しずつ、ひらひら舞いながら落ちていく。
スペインとポルトガルの建築物が作り出す歴史的な町並みが世界遺産に登録されている
コロニアル・デル・サクラメント。
船着場から住宅街に入ると、道路の両脇に背の高い街路樹が並んでいる。
この木が影を作るお陰で、暑い日差しを感じることなく街歩きにいそしむことができる。
木陰には水分がなくなりカサカサになった落ち葉たち。
交通量が少ない道路を、この落ち葉だけが風に舞いながら存在感を放っている。
きっと、この落ち葉が秋のあの切ない感じを思い出させるのだ。
日が沈むと、18世紀のろうそくの色を再現したという黄色いランプが次々に点され、
どこからともなくやってきた人々でバーが賑わう。
哀愁漂う石畳の街並みで、木々も静かに眠りについた。
喧騒のブエノス・アイレスから高速船でわずか1時間で国境越え。
そこは、木陰とランプが似合うしっとりした大人の街だった。
Colonia of Sorrows
哀愁のコロニア
2011-02-21
at Colonia del Sacramento, Uruguay (コロニア・デル・サクラメント, ウルグアイ)